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夢もなく、趣味もなく、家庭も持たない中年男、『足立理一』は気づいてしまった。
自分にはこの先の人生を生きるための『特別』な理由がない事に。
そんな理一に声をかけてきたのは、一人の見知らぬ女の子。
「おじさん…、もしよかったら、マナのお願い聞いてくれませんか?」
「ここに、連れて行ってほしいんです」
いかにも訳有りげで、普通ならばこんなお願い、取り合ったりはしない。
けれども理一は、自身が空虚であるがゆえに、彼女の『願い』を叶えてあげたいと思う。
「いいよ、連れて行ってあげる」
理一とマナの小さな旅が始まる。