レビュー
1番にあの表現力、登場人物の心理描写が美しい。美しい愛でもあり、独りよがりな独占的な愛。
お互いの’個人’という領域を犯しながら溶け合って歪んでいくまさに狂愛を美しく描いている作品です。
彼女の普通を主人公が理解ではなく順応で答えていく、欲望という果実はお互いを守るように膨れ上がっていく。
彼女という世界に閉じ込められたのか、はたまた安心できる揺籠を見つけたのか。幸せを模る器に乗っている果実はザクロなのかリンゴなのか、 (コミックキスハグvol.5を購入し、同誌にて閲覧。本作品単体について書きたいため、こちらにレビュー投稿する。)
思考を鷲掴みにされる作品。
物語は不思議な少女・暮井ねいどとの出会いから始まる。
主人公の少年・瞳は、入学式で透明なプラスチック製の小型迷路を弄ぶ彼女に心を奪われる。
そしていつも屋上にいる彼女に話しかけ、二人だけの関係を作っていく。
「自分以外の人間の視線や評価を過剰に気にしてしまう」という共通点。
ある日、学校を切って浜辺に行き、二人は最後の一線を越えて一つの存在になろうとする…。
みんな大好き抜きどころまでの描写も素晴らしいのだが、エッチシーンそのものが圧巻の一言。
千の平原(ミル・プラトー)ならぬ千のおっぱい(ミル・乳頭)。
教室の壁をぶっ壊す勃起ちんぽ。
既存の現代エロマンガ表現、すなわち、淫語、オホ声、アヘ顔、身体落書き、断面図といったものを使いながら、今まで見たことがない表現を展開させる。
この作品は間違いなく、現代エロマンガの天井に穴を穿つ名作だ。
物語の最後は、少女の満たされた微笑で終わる。
当初は、自分というザクロの実を食べさせて、少年をこちらの世界に引きずり込む算段だった。
しかし実際は、少女こそがペルセポネであり、少年こそがザクロの実だったのだ。
少年が求めていたのは、裸の少女と一つになること。
少女が求めていたのは、自分の中の裸の欲望たちと一つになること。
お互いの欲求が満たされたいま、二人は赤の他人同士に戻る。
それでも少女は歪んだ教室の中に居心地の良さを見つけられた。
慈しむように、壊れたプラスチック越しに少年を見る…。
GWの最後に読むのに最適の一作だった。
あらすじ
『何を食べたら…もう戻れなくなってくれる?』
雑誌掲載時からSNSにて大反響を巻き起こした超話題作! 驚異の61ページで抉り出す、狂愛。
入学式で、おもちゃを手にする女生徒に目を奪われた男子校生・瞳。
同じクラスにいる彼女を追いかけて向かった屋上で、問題の女生徒・暮井と初めて対面する。
とりとめのない言動に振り回されつつも、不思議な魅力にどんどん惹かれていく瞳は、次第に彼女の中の’異常すぎる世界’へと足を踏み入れていく――。
(COMICキスハグvol.5 収録作品)
サンプル
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