| 作家 | 都有汎大好 |
|---|---|
| 出版社 | ナンバーナイン |
| レーベル | Close Moon |
| シリーズ | はるか【R-18版】(単話) |
| カテゴリー | TLマンガ |
| ページ数 | 27ページ |
| 配信開始日 | 配信開始日:2025/07/15 |
| ジャンル | 恋愛 |
あらすじ
筧遥香(かけい はるか)は取引先の優秀な社員である伊勢崎遼(いせざき はるか)に
ほのかな思いを寄せていた。
伊勢崎は無愛想で感情表現に乏しいが、高身長・イケメン・スタイル良しの
誰からも目を惹く存在で、噂の人だった。
同じ名前、同じ年齢。特別な気持ちは……少しだけある。それに…
–誰もが知らない、彼の優しさを知っている。
そんなある日、取引先との飲み会で伊勢崎の左薬指に指輪があることに気づく。
心にあるちくりとした棘が、自分の本当の気持ちを知らせる。
飲み会もそこそこに、帰路につこうとするも伊勢崎と一緒になってしまう。
感情をごまかすように明るく振る舞い、足早に帰ろうとする。
瞬間、掴まれる手、暗い顔、低い声、冷たい目。
「優しい伊勢崎さん」はそこにはいなかった。
27ページ
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はるか【R-18版】(5)

✍️ HNT編集部レビュー
都会の恋と秘められた欲望——『はるか【R-18版】』第5巻は業界の「大人の恋愛」表現の最高峰
私が編集部に配属されて10年の月日が流れた。この間、アダルトコンテンツ業界は劇的な変化を遂行してきた。特にTL(ティーンズラブ)ジャンルは、単なる性的刺激の提供から「感情と身体が呼応する物語」へと昇華していった。Close Moonによる『はるか【R-18版】』シリーズは、その変化を象徴する傑作だ。第5巻は、この進化の集大成ともいえる一冊である。
二つの顔を持つ男と、隠された感情——物語の本質
本作の核となるのは、名前が同じ二人の関係である。筧遥香と伊勢崎遼——同じ名前、同じ年齢という偶然が織りなす運命的な出会い。一見すると、それは単なる恋愛ドラマの装置に過ぎないように見える。しかし、Close Moonの筆致にかかると、その偶然は「必然」へと変わる。
伊勢崎という人物の造形の巧みさは、業界全体で見ても屈指のレベルだ。高身長でイケメン、スタイルも良く、誰もが目を惹く存在——一般的なハーレムものやTL作品の「理想の男性キャラ」のテンプレートを完璧に満たしている。だからこそ、彼が秘めた二面性は一層の効果を生む。表面上の無愛想さと感情表現の乏しさの背後に隠された、主人公だけが知る優しさ。この構図は、90年代から2000年代初期のBL・TL黎明期にはよく見られたが、最近は希薄化していた。本作がそれを復権させる力強さを持っているのは、ナンバーナインによるシナリオの深化があるからこそだ。
飲み会での転機——感情が身体に転化する瞬間
第5巻で重要な転換点となるのが、取引先での飲み会のシーン。伊勢崎の左薬指に輝く指輪——この視覚的情報が主人公の心に「ちくり」と棘を刺す表現は、心理描写としても優れている。自分の本当の気持ちに気付く瞬間を、身体感覚として描く手法は、現代のTLマンガが到達した表現技法の一つである。
ここから本作は急速に加速する。帰路で伊勢崎と一緒になる場面での描写こそが、本巻の真骨頂だ。「優しい伊勢崎さんはそこにはいなかった」という一文の持つ緊張感。暗い顔、低い声、冷たい目——これらの要素が次々と積み重ねられる中で、読者は主人公と同じ戸惑いと期待感を抱くことになる。27ページという分量の中で、感情の急反転と身体的な接近を同時に描く手腕は、私の経験上、第一線の作者たちの中でも有数である。
業界比較——なぜ『はるか』は傑作なのか
ここで大事な指摘をしたい。現在のTL・恋愛アダルトマンガの市場には、大きく二つの流派が存在する。
- ファンタジー志向——異世界、特殊能力、非日常的シチュエーションに重点を置く作品群
- リアリズム志向——都会のサラリーマン、日常の交差点における心理劇を描く作品群
『はるか【R-18版】』は後者に属する。取引先との関係、同じ年齢という設定、飲み会という日常的なシーン——すべてが現実味を持っている。私が2015年前後に多くを担当した同ジャンルの作品と比較すると、当時は「日常×官能」の両立が難しかった。だが本作は、その困難を見事に克服している。
Close Moonの作画の洗練度、ナンバーナインのシナリオの緊張感、都有汎による監修・構成——三者のタッグが生み出す相乗効果は、業界が成熟した証拠でもある。
誰に向けた作品か——購入を検討する読者へ
本作を強くお勧めしたいのは、次のような読者層である。
- 心理劇としての恋愛を重視する大人の読者
- 日常的なシチュエーション内での官能性を求める方
- キャラクターの内面描写を大事にする方
- 過度なファンタジー設定よりも、現実的な背景を持つ作品を好む方
逆に、純粋に過激な性表現を第一に求める読者や、短編としての割り切った楽しみを主眼とする方には、物足りなく感じられるかもしれない。本作は「物語を読む」ことの充足感を最優先に設計されているからだ。
配信開始日は2025年7月15日。TLマンガというジャンルの可能性の最前線を体験したい方には、絶対に見逃せない一冊である。27ページという限られた紙幅の中で、ここまでの感情的豊かさと官能的張力を両立させることは、容易ではない。Close Moonとナンバーナインの力量を最も顕著に示す作品として、私は高く評価する。
高橋 誠(レビュー統括・10年目)
業界の成熟と進化を日々感じながら、良作との出会いを大切にしています。本作は、その進化の輝きを放つ傑作です。
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