レビュー
これはフィクションである。だがリアリティは必要だ。決してリアルで行ってはならない。だからせめてリアリティが欲しい。
そんな「業の深い連中」に対して、制作陣が真摯に向き合っている事が伺える。
【お母さんの言うことは~】
キャラのバックグラウンド描写は薄め、テンポの速さや行為の情報量重視。
通話機能を用いた羞恥プレイで心を折る。
「イマドキの普通の少女」を、唐突に、理不尽で可哀想な目に遭わせたい方向け。
本誌の中で唯一、女の子が明るそうで生意気そう。
【家路】
家庭環境やバックグラウンドなど、全体的に「薄暗い」テイスト。
いかにも幸が薄そうな家庭での、兄妹の話。
キャラの腕にハンコ注射の跡があり、「あまり食べてなさそう」な痩せぎす。
少女の卑屈さも相まって「この子は一生、何一つ幸せなことが無いんだろうな」と思わせる。
締め方まで通して、嫌な余韻が残る(褒め言葉)
【盲姫の孤独】
盲目の少女を安易に行為に持っていかず、敢えて「逃げ場のない状況」に持っていく。
周到で陰湿なやり口が、より竿役の「キモさ」を引き立てる。
顔がキモいんじゃない、やり口がキモい。
家路同様、これも心に嫌な残響を残すタイプの静寂で終わる。
【娘売ります】
自分のことしか考えていない嫌な母。
今は無垢な娘も、この母親からの仕打ちでこうなるんだろう。
編集からのフレーバーも「全員で誰かのせいにしてる」のが最高に胸糞で良い。
少女に反抗心が生まれるだけ、多少はマシ。
【しあわせをみつけて】
シナリオと背景設定構築が丁寧。
やべー宗教やってる系家族と周辺環境。何一つ逃げ場がない。
しかも少女もそれが「当たり前」と思っている。
途中で知り合う青年が「一般的な社会の観念」を教え、少女が自身の周囲の異常性を知るが…。
「少し持ち上げてから、渾身の力で叩き落とす」のが、みなすきスタイル。
「暴力」ではなく「環境」による、複合的な救いの無さ。
本誌を締めるのに相応しい力作。
あらすじ
義務教育が終了する前に、人生が終了しちゃったね。
でもしょうがないよ、女に生まれたのは君なんだから。
COMIC LO電子書籍増刊「LOE(エルオーイー)」シリーズ第13号は、
「LOE noir(エルオーイー・ノワール)」の第2弾。
フランス語で『黒』という意味を持つ「noir」は、
甘さ無し・幸せ無し・容赦無し、地獄のバッドエンド特集です。
LO本誌では許されなかった
「(フィクションの世界で)どうすれば少女達を可哀想な目に遭わせられるか」
を徹底的に突き詰めた禁忌の一冊が
聖なる日“クリスマス”から配信開始です。
【収録作】
獅子千丸「お母さんの言うことは聞かないとね」24P
梅久「家路」48P
冬嗣「盲姫の孤独」22P
ねどころみつき「娘売ります」32P
みなすきぽぷり「しあわせをみつけて」60P
(各作品後には少女達の可哀想をより味わえるおまけページつき)
「かわいそうなのはぬけない」派の方がご覧になると気分を害し、
取り返しのつかない心的外傷を及ぼす可能性もございます。
興味本位での「LOE noir」の購読はおすすめいたしません。
また苦手な方達を騙し、面白半分で本書を読ませる行為は、
冗談のつもりでもご遠慮くださいますようお願いいたします。
「LOE noir」の加虐は肉体的より精神的な方向を推奨しています。
リョナ系の方向の加害をお好きな方には物足りないかもしれません。
・本作品はフィクションです。実在の人物、団体、事件とは一切関係ありません。
・本作品は犯罪を教唆するものではありません。決して真似をしないでください。
※実際の好意と妄想を断絶し、フィクションを愛する方達のみに向けた雑誌です。リアルとフィクションを粗雑に結び付け、揶揄する行為はどうかご遠慮ください。
【DLsite】
※DLsite限定特典!編集のコメントと共に裏側を振り返る「LOE noir 2ができるまで」(23P)付き!