レビュー
南文香先生は、前作「ひみつの再開」や、「イジめてごっこ」(白泉社)シリーズ等、成人女性の恋愛、純愛について深く描かれるのがお得意だと感じます。当シリーズにつながる前作「知らないカタチ」では、主人公、泉さんが奥手な自分からステップアップする為、チャラ男(下田)と初めてのセックスをしますが、今作では下田君の方の気持ちの変化を丁寧にトレースし、自分の気持ちの変化に戸惑いながら、泉さんに惹かれていく、体だけの関係と割り切って始めたのに、なぜか泉さんに心惹かれていく心境の変化を、丁寧に描写しています。デートを重ねるうち、泉さんに気持ちが芽生える。魅力的に感じる。体だけじゃない。一緒にいて楽しい。
泉さん自身も、コンタクトを付け、デートを楽しみ、友達とお酒を飲み、生真面目、奥手な性格から一歩前進します。
下田君、泉さん双方での、人間的な成長を丁寧に描いた作品で、南文香先生にしか出せない、難しい心の変化を、漫画という形で、一コマの表情や、やり取りで描き出した素晴らしい作品だと思います。今後の展開がとても楽しみです。
泉さんの方も、前作ではチャラ男だと割り切っていた下田君に不思議と好意を寄せています。
普通だったら互いを小馬鹿にし、交わることなく自分の考え、殻に閉じこもっていた二人が、不思議な化学反応を起こして両想いになり、付き合いを始める。とても難しい心情の変化を描き出した稀有な作品だと思います。
アダルト漫画のジャンルに収めておくのはとても惜しい!男女問わず、多くの人に読んでみて欲しい!そう感じます。シリーズ前作「知らないカタチ」と共に読んでみてください。
あらすじ
(女なんてヤれればいい――…そう思ってたんだけどな)
大学生にもなって処女なことに悩んでいた麻衣子(まいこ)は、ヤリチン男・下田(しもだ)で処女卒業し自信を付ける。
一方下田は……麻衣子にハマりすぎて≪ガチ≫になっていた!
ズルズルとセフレみたいな関係を続ける二人。麻衣子と本気で付き合いたいと思い始めた下田は他の女との連絡を全て断ち、ひとつの決断をする……。