おすすめレビュー
非現実を最大限のリアリティで描くということは…というのを痛感させられました。ネットでの拡散、マスコミのバッシング、誹謗中傷…読んでいて胸が痛く、受け止められない部分があります。その一方で、愛する坊ちゃんのために不器用ながらも悪に徹しきった加奈子さんの覚悟をしかと受け止めました。
最後に。先生がこの結末で正解だと思って描かれたのなら正解なのでしょう。お疲れ様でした。
『メイドのおしごと。』には儚いですがい夢を見させて頂きました、ただ最後の顛末まで受け止めきれなかった自分に未熟さを実感します。 あるとすれば現実と夢想の差かと思いました。
一種のSF小説的手法として「母親みたいなメイドを持った少年」と言う大前提だけが現実離れし、世間の風当たりや未熟な男子の短慮など他の要素は極力リアリティを求めた思考実験のような筋書きを作者様は目指しておられたと感じました。
一方で、一部読者層は「母親みたいなメイドとの淫蕩生活」と言うまぶしい光源に惹かれていたのも事実で、リアル志向が産む影の部分にまでは目に入っていなかったか、あるいは見ないふりをして夢想を突き通して欲しかったのかもしれません。
本作は良くも悪くも埋まらない溝が可視化された作品でした。
近年のバイトテロと呼ばれる浅はかな行為のネット拡散が頻発した事象を鑑みれば痛いほどにリアリティのある内容でした。
痛すぎて現代劇的ホラーのテイストすら感じました。
しかも、それらは身に覚えのない通り魔的怪異ではなく、呪いの祠を面白半分で壊したとか、肝試しで禁足地に不法侵入したとかに類する身から出た錆だとシリーズの読者なら熟知しているので余計に苦しい内容でした。
でも、だからこそ文学作品としては非常に濃密に仕上がったと個人的には思っています。
もっとも、二人の慕情は見事な読み応えの反面、重すぎて抜けるかと言うと個人差があるかもしれません。
美少女ゲームでも俗に言う泣きゲーと抜きゲーに分断されるように、複数回のHシーンこそあれど本作は後者には程遠く、泣きゲーの系譜を連想しました。
ゆえに、絶体絶命の状況だからこそ辛い現実を忘れようと熱く愛し合う、いわゆる現実逃避性交の説得力は凄まじく、そこだけを目当てに買っても値段分の価値はある作品でした。 エロ同人のレビュー欄において、
その作品の主人公のことを、読者の単なるアバターとしてではなく、一人の自我を持った主体(今回は「優太」)として感想を書くのは、私自身初めてのことだ。
そのくらいこの物語の登場人物たちのバックボーンに惹かれ、行動に納得し、感情移入して読むことができたということなのだろう。
さて、肝心の内容に関してはこの最終章まで読み切った今、殊更長ったらしい感想を述べるつもりはないが、なかでも第一章から最終章まで、ミサトさんの「変わらない」部分に強く心を動かされたことは、筆舌に尽くし難い。
ミサトさんの「変わらないモノ」、それは、優太への「無償の愛」である。「物語の中で芽生えた」のではなく、それまで気づかなかっただけで「最初からそこにあった」のである。
最後の夜、2人体重ね、果てる瞬間ミサトさんが願うことは、優太の幸せだった。
なるほど。この瞬間のための全5巻だったのか。
全5巻、通して読むことを強くオスメする。
登場人物たちそれぞれの「変わってくモノ」と、「変わらないモノ」。それらが複雑に絡み合っているように見えながらも、読み解いていくとそこには実は至ってシンプルなモノ、「友情」があり、「愛」があった。
p.s.
レビューの最後に「この作品に当てはまるジャンル」を選択式で選ぶコーナーがあるのだが、迷いなく「純愛」を選択した。
つまりそういうことなのである。 抜けない純愛は名作ってそれ一番よく言われてるから。
いや厳密には抜こうと思えば抜けるんだけどドラマそのもの方が面白くて抜く”必要”が無い。
エロ抜きで十分に面白いっていうかエロがしっかりドラマのキーとして活きてるのが作品として非常に良質。
ゴメンネもうレビューじゃなくてさ、感想になっちゃうわ。
“感想を送りたい作品”なんだわ。
あとがき曰く賛否両論(どっちかっていうと非)だそうだがヒキも良かった。
独り立ちして立派な大人になって顔向けできると本気で信じられたその時に、行け!
まぁ荒れるのも分かる。でもいうて優太も佳祐もガキだし全てに完璧な対応を求めるのもやっぱ違うでしょ。
でも佳祐がホモっぽいのはね、そうだよ。男友達にかける執着の強さか…?これが…ってなるもん。
という事で総合して良い作品でした。
正味1,2,3は二人の気持ちがすれ違ってたから不完全燃焼だったんだけど信じて4と最終章買って良かった。
それくらい4からの怒涛の追い上げと最終章のカタルシスは価値あるものだった。
いやもう…良い作品だったよ…。 以前から追っていたシリーズだったので個人的には大満足でした。最後にヒロインに息子が産まれて居たのが特に良かったですね。ですが個人的に主人公と別れてから妊娠の発覚、出産の描写など無いため個人的に何らかの形で妊娠期間の話を見てみたいですね…現代だと8ヶ月くらいすれば〇供の性別も解りますし、お腹の子が男の子だった時の心境とか気になります…息子とイケナイ関係になってるかもしれないと思うと興奮しますね
あらすじ
許されぬ関係がついに世間に曝され
愛し合う二人は徐々に追い詰められていく…
メイドとして、母親として
愛する坊ちゃまを守るため
36歳のメイド
美里加奈子は決断する。
愛に飢えた不器用な二人の
許されぬ純愛の結末は…
’メイドおねショタという非現実を最大限のリアリティで描く’がコンセプ
トの「メイドのおしごと。」シリーズ最終章!
約二年半の時を経て110ページの長編でついに完結!!
※DLsite限定あとがき追補版も追加収録